無銘 高木貞宗






古刀(約650年前)
財)日本美術刀剣保存協会 
  第五十四回重要刀剣指定品





長さ29.95cm  反り0.5cm 目釘穴2個
元幅2.8cm  先幅--cm 重ね0.7cm弱

 高木貞宗は江州高木の人で相州貞宗の門人という。 僅かに小脇差に在銘のものがあり、その作風は相州貞宗に似て小のたれを得意とし、中には互の目の交るものもあり、金筋・砂流しのかかる作風を示している。 
 この短刀は、地鉄は板目に杢目を交え、肌立ちごころとなり、刃文は湾れ調に互の目が交じり、刃縁処々ほつれ、匂口明るく沸よくつき、金筋・砂流しかかるなど、地刃に相州貞宗の作風を受け継ぐ高木貞宗の特色が著しく、極めの首肯されるものである。 地沸の厚くつき地景の頻りに入った強い鍛えがよく、刃文も刃縁に光の強い沸がきらめき、金筋・砂流し頻りに現われ、一見師の貞宗をおもわせる、高木貞宗の佳作である。
 
 形状、平造、三ッ棟、身幅広く、寸延び、重ね心持薄く、反り浅くつく。 鍛(きたえ)、板目に杢目を交え、肌立ちごころとなり、地沸微塵に厚くつき、地景頻りに入る。 刃文、湾れ調に互の目が交じり、刃縁処々ほつれ、匂口明るく沸よくつき、金筋・砂流しかかる。 帽子、表裏乱れ込み、先尖りごころに深く返り、掃きかける。 彫物、表に梵字と爪付剣、裏に護摩箸 茎(なかご)、生ぶ、先剣形、鑢目勝手下がり、目釘穴二、無銘。

 古くは貞宗と同人とされていた高木貞宗は現在では貞宗の門人とされています。 作風は極めて師に近く、流石に同人とされていただけあり出来も師に迫るものが多く残されています。本作も高木貞宗の傑作の一つとして世に受け継がれ、明治二十年には本阿弥長識により貞宗と極められています。