無銘 了戒

  上作 良業物




古刀(鎌倉後期 約720年前)
公財)日本美術刀剣保存協会 
  特別保存刀剣鑑定書







長さ68.2cm  反り1.3cm 目釘穴2個
元幅2.85cm弱  先幅1.9cm 重ね0.7cm

 山城国了戒は来派の刀工で、一説に来国俊の子、または弟子、相弟子(後に婿入)といわれています。 現存する紀年銘に正応・永仁・嘉元があり、来国俊とほぼ同年代であることから、二字國俊と来国俊とを同人と仮定した場合は「来国俊の子」説は差支えがないものの、二字國俊と来国俊を別人とした場合は「二字國俊の子」と考えるのが妥当である。 一般に、了戒の作風は来国俊と極めて近似したものが多いが、地がねに柾気を交えて白気ごころをおびたり、直刃の匂口がうるみごころとなるものをよく見る。 また直刃調に逆がかる小互の目や小丁子の刃を交えて備前気質を示すものも少なくない。 

 姿、鎬造、庵棟、やや細身、元先の幅差つき、中鋒ややつまる。 鍛え、小板目に流れ柾・地斑調の肌など交じり肌立ちて地沸つき、白気映り立つ。 刃文、直刃、小沸つき、匂口締まりごころに冴え、小足よく入り、僅かにうるみごころがある。 帽子、のたれ込みごころに直ぐ、小丸に返り、僅かに先掃き掛ける。 茎、大磨上、先切り、鑢目、浅い勝手下がり、目釘穴二。

 来国俊を彷彿とさせる大磨上の刀。作風は国俊に近似して穏やかな直刃を焼き、名刀然としています。 国俊と比べ一段と匂口が締まり、部分的にうるみごころを呈し、柾目鍛えが目立ち、白気風の映りが立っており、まさにこれらは了戒の見どころであり、無銘ながらも極めは揺るぎのないものです。 了戒の特色がよく明示された典型作にして優品です。