太刀 
 無銘 古金剛兵衛






古刀(南北朝期 約660年前)
公財)日本美術刀剣保存協会  
   保存刀剣鑑定書






長さ75.0cm 反り1.7cm 目釘穴2個
元幅3.15p 先幅2.4p 元重0.7p

 筑前国の刀工集団である 金剛兵衛派 は、鎌倉末期から室町末期にかけて栄えた名門である。なかでも鎌倉末から南北朝初期に活躍した刀工は「古金剛兵衛」と総称され、九州物を代表する古作として珍重されてきた。 

 形状、鎬造り、庵棟、身幅広く、元先の幅差目立たず、重ねやや薄く、反りやや浅く、大切先の豪壮な造り込み。  鍛え、板目に大板目交じり、柾がかり、大模様に肌立ち、地沸厚くつき、地形よく入り、地斑状の肌を交え、白け映り立ち、かね黒みを帯びる。 刃文、細直刃、総体に刃縁細かくほつれ、匂い口締りごころに小沸よくつき、喰い違い刃交じり、二重刃かかり、刃区上二寸六分ほど焼き落とす。 帽子、直ぐに大丸、僅かに掃きかける。 茎、生ぶ刃上りの栗尻。 

 この刀は幅広で大切先、元先の幅差が目立たず、反り浅めの南北朝様式の造り込みをしており、鍛え、板目が強く流れ、柾がかり、地沸が厚くつき、ネットリとして柔らか味が感ぜられる独特の肌合いに白け映りが立ち、刃文は細直刃で沸づき、匂口が沈みごころとなり、総体に潤み、元を大きく焼き落とすなど、九州古典派の趣を醸し出しています。
 注目すべきは生ぶ茎であること。鎌倉・南北朝期の太刀で制作当初の姿をそのまま伝える例は少なく、本作が長く大切に伝来したことを窺わせる。
(無銘であっても制作時代が南北朝期、そして生ぶ茎であるため分類は「太刀」となります。)

 また、附属する江戸後期の半太刀拵は、王朝風の大鐺を配した典雅な作行きで、南北朝古作の風格を一層引き立てている。