□定(兼定)





  古刀 (天文頃 約400年前)
公財)日本美術刀剣保存協会 
   保存刀剣鑑定書






長さ28.0cm 反り0.3cm 目釘穴2個
元幅2.6cm 先幅--cm 元重0.45cm
 

 兼定は、美濃国関を代表する名門刀工であり、「関の孫六」の名をもって広く知られる。初代より数代にわたり「兼定」を襲名したため、その系譜にはなお研究の余地を残すものも少なくないが、とりわけ二代和泉守兼定は、「最上大業物」に列せられる名工として古来高い評価を受け、その華やかにして覇気ある作風は後世の兼定一門にも大きな影響を与えた。歴代兼定の作は、美濃伝を代表する名品として今日なお愛刀家の人気が高く、その優れた技倆は広く知られている。

 本刀は九寸五分の短刀で、平造り、庵棟、身幅広く重ね薄く、僅かに反りを備えた引き締まった姿を呈する。鍛えは板目に大板目を交え、ところどころ流れて柾がかりとなり、総じて肌立ちごころを見せ、地沸よくつき、白け映りが現れるなど、美濃物らしい鉄味を示している。刃文は互の目乱れを基調として尖り刃・箱がかった刃を交え、飛焼き盛んにかかり、小沸よくついて匂口はいかにも明るく冴える。帽子は乱れ込んで地蔵風となり、表裏には棒樋を掻き流す。茎は僅かに磨り上げられ、約三、四分ほど区送りとなるが、「兼」の字は磨上げにより失われ、「□定」とのみ判読される。鑢目は桧垣、目釘穴二個を備える。残る「定」の字は、大業物として知られる三代兼定の銘字に通ずる筆致を示し、作域とあわせて三代頃の作を想起させるものがある。

 総じて本刀は、美濃伝特有の覇気ある互の目乱れと、飛焼きを交えた変化に富む刃文が大きな見どころとなる優品である。銘字の一部は失われているものの、残る「定」の銘振りや地刃の出来は、兼定一門の優れた技倆を今に伝えるものであり、伝来の趣をも含めて興味深い一口である。 保存刀剣鑑定書が付属し、兼定一門の作域を今に伝える優品として、末永く愛蔵するに相応しい一口である。